契約恋愛~思い出に溺れて~

少し考えてみる。

まあそうだろう。

傷ついた時に優しくされたら、何だか頼りたくなるもの。


「そうじゃない? 辛い時、傍にいてくれたら嬉しいと思う」

『でも紗彩ちゃんは俺はいらないって言ったじゃん』

「いらないなんて言ってないわよ」

『突き放したじゃんか』


達雄と別れた日のことを言ってるんだろうか。

だけどあの時の気持ちは、説明できない。

あなたで頭が一杯になったから逃げ出した、なんて。
そんなこと言ったら、……告白みたいなもんじゃない。


「えっと……とにかく、普通はほだされるわよ。そういうもん!!」


やや投げやりに言うと、クスクス笑うような声が聞こえる。
もうなんだか、……恥ずかしい。


< 219 / 544 >

この作品をシェア

pagetop