契約恋愛~思い出に溺れて~
『でもさ、紗彩ちゃん見てたら。……なんかわかったような気がする』
「え?」
『子供育てるって、大変なんだよな。
親って必死なんだなって、なんか、初めて思った』
「そんなに、私は一杯一杯に見えるの?」
『見えるよ。旦那もいないから尚更頑なじゃん。
紗優ちゃんもさ、いっつも頑張っていい子にしてるんじゃない?
あの子はなんかいじらしいよね』
「……」
『俺の母親も、多分辛かったんだろうなって。
親父は気の回るタイプじゃないし。
多分……一人でがんばってたんだろうなって、ようやく思えるようになってきた。……それで』
「なに?」
一瞬、会話が止まった。
取り巻く空気まで変わったような気がして、心臓がドキリとなる。
『……顔を見て話したい事があるんだけど。出来れば2人で』
「え?」
『出てこれない?』
動悸が激しい。
即答で頷きそうになったものの、お化粧を落としてしまったパジャマ姿の自分に気づいて躊躇する。