契約恋愛~思い出に溺れて~


『でもさ、紗彩ちゃん見てたら。……なんかわかったような気がする』

「え?」

『子供育てるって、大変なんだよな。
親って必死なんだなって、なんか、初めて思った』

「そんなに、私は一杯一杯に見えるの?」

『見えるよ。旦那もいないから尚更頑なじゃん。
紗優ちゃんもさ、いっつも頑張っていい子にしてるんじゃない? 
あの子はなんかいじらしいよね』

「……」

『俺の母親も、多分辛かったんだろうなって。
親父は気の回るタイプじゃないし。
多分……一人でがんばってたんだろうなって、ようやく思えるようになってきた。……それで』

「なに?」


一瞬、会話が止まった。
取り巻く空気まで変わったような気がして、心臓がドキリとなる。


『……顔を見て話したい事があるんだけど。出来れば2人で』

「え?」

『出てこれない?』


動悸が激しい。

即答で頷きそうになったものの、お化粧を落としてしまったパジャマ姿の自分に気づいて躊躇する。


< 221 / 544 >

この作品をシェア

pagetop