契約恋愛~思い出に溺れて~


「好き」

「ん。好きだよ」


ためらいなく返ってくる彼の返事。


「好き……あっ」


彼の掌と唇に、翻弄される自分。

熱くて、

熱くて、

訳が分からなくなりそう。


汗ばんだ肌。

私を見ている、優しくて深い瞳。

時折りピクリと動く、喉仏。

がっしりとしている肩。

みんなみんな、自分のものにしたくて。

私は何度も、彼に向けて手を伸ばす。
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