契約恋愛~思い出に溺れて~


「……ちょっと待ってて」


彼は体を起こし、いったんベッドから離れた。

そして電気を消し、戸棚をガサゴソとさぐった後、戻ってくる。

もうこの年になれば、それが何を意味してるかくらいは分かる。

ただ一時の感情だけじゃなく、私の体のことも考えてくれている証。



「お待たせ」


にこりと笑う英治くんに、返事は出来ずに手を伸ばす。

すると彼は、伸ばした掌にキスをして、腕を伝うようにそのまま首筋まで降りてきた。


「んっ」


喉元から顎のラインを伝って、頬や額にキスが落ちる。

私の前髪を指ですくった後、首のあたりに手を突く。

服の中にもぐりこんでくる、体温より少し冷たいもう一方の手が、私の体を刺激していく。


「はあっ、……んんっ」


腰から上にあがっていく手に、漏れる吐息は唇に吸い込まれて。

暗闇の中、一枚ずつ無くなっていく衣服に、
今までのガチガチの自分が重ね合わさって、

心細さを感じるのと同時に、妙に素直な気分になっていく。
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