契約恋愛~思い出に溺れて~


「紗優ちゃん、寝たの?」


タオルで頭をこすりながら、浴衣を着崩す彼は妙に色っぽい。

私はドキドキするのを誤魔化すように、小さな音でテレビをつけて、ニュースを見ていた。


「うん」

「じゃあ、こっちおいでよ」


もう一方のベッドを、ポンポンと叩かれる。
私は苦笑しながら彼の傍に行った。


「今日はお疲れ様」

「うん。紗彩も。色々ありがとう」

「私何にもしてないよ」


髪を撫でるように触られて、首のあたりまで落ちてきた時に引き寄せられる。
唇の感触と同時に、目元には彼の濡れた髪が触れる。

目をつぶって体の力を抜くと、髪を撫でながら彼は少し低い声をだした。


「……色々、懺悔してもいい?」

「懺悔って?」


彼の腕の中で、体温に安心していた私は、その言葉に少しビクリとする。


< 418 / 544 >

この作品をシェア

pagetop