契約恋愛~思い出に溺れて~

 夜は、以前したみたいにパーティをした。


「目をつぶって」


そう言われて、素直にその通りにすると、
私の頭全体が柔らかい何かで覆われた。

驚いて目を開けると、それは桜色のストールだった。


「きれいでしょ。ママおしごと行く時に、これつけてね」

「この間、サユと二人で買ってきたんだよ」


頭からストールを外すと、競うように言う二人の笑顔とぶつかる。

あまりにも可愛いそのストールと、照れ臭さから

「若過ぎない?」

って聞いたら、

「まだまだでしょ」

って笑われた。


何もかもが、順調だった。

このまま、何もかもうまくいくんだと思ってた。

だけど、家族になるっていうことは、

やはり簡単ではなかったのだ。



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