契約恋愛~思い出に溺れて~
どうしてこの子は、上手に気持ちを伝えることができるんだろう。
大人の私にだって出来ないのに。
こんな風に素直になれるのは、子供の特権なのかな?
それとも、紗優だからこんな風に言えるの?
何も言えなくなった私の隣で、英治くんが紗優に手を伸ばす。
ギュッと抱きしめた時のその顔は、とても嬉しそう。
「サユはやっぱり紗彩の子供だ」
「英治くん」
「おとうさん?」
彼はもう一方の手を私に伸ばして、
紗優とぴったりくっつくように両脇に私たち二人を抱きしめた。
「逃げないんだよな、二人とも。負けず嫌いなところがそっくり」
私と紗優の目が合う。
何だか恥ずかしくて、照れ臭くなりながら。
「えへへ」
紗優の小さな声。
嬉しいのかな。
可愛い鈴の音みたいな声。