契約恋愛~思い出に溺れて~
彼女たちを眺めていると、達雄が掌を重ねてくる。
「今日、いい?」
「いいわよ」
バーを出て、いつものホテルに入る。
2年も経てば慣れたもので、私はもう彼と体を重ねることには何の感情も抱いてはいなかった。
コトが終わり、荒い息のまま横たわりながら、達雄が小さな声を出す。
「紗彩……」
「なに?」
「明日は何してる」
「明日は紗優と水族館。前から約束してるの」
「運転手してやろうか」
「いいわよ。紗優の事は気にしないで」
「会わせてくれないよな。いつも」
達雄から苦笑が漏れる。
私は起き上がると、落ちた下着を拾って身に付けた。