僕は生徒に恋をした
「いないよ。
相手にもされてない」

「嘘だ」

「そんな嘘つくか」

俺は笑う。

「…私も」

山田はぽつりとつぶやく。

「うん?」

「バレンタインにチョコ渡したのに、相手にもされなかった」

手嶋先生なら生徒のチョコなんて受け取らないだろう。

そんな話はあまり聞きたくなかった。

「あ!先生、今何時?」

急に山田が問う。
俺は腕時計を見て、まもなく22時を回ると告げた。

「花火上がるのってどの方角だっけ」

「えーと、多分…」

俺がその方向を振り返った瞬間、大きな音とともに、花火が打ち上がった。

どこも欠けることのない花火だった。
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