僕は生徒に恋をした
「佐々ちゃん、何してんの!
悪趣味だな」

彼の声に山田がこちらを見たのが分かったが、俺は彼女の目を見ることができない。

「悪い。
武内が林原にこき使われてるって聞いたから見に来たんだけど…」

「もう終わった。
メシ食ってから体育館行くね」

武内は俺にそう言った後、山田に向き直る。

「山田。
返事、別に急がないから」

武内は山田に手を振って去って行った。

俺は武内が角を曲がるのを見ながら手を握り締めて初めて、缶ジュースを渡し忘れたことに気付いた。

山田が横に来て、俺の顔を見る。
俺は持て余したジュースを彼女に渡した。
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