僕は生徒に恋をした
二年生に進級するとき、お兄ちゃんから佐々本先生が私の学年を担当すると聞いて、すごく期待した。

でも結局、先生は隣のC組の担任。

三年はクラス替えがないから、この先担任になることがないと分かると、林原先生には悪いけどがっかりした。

数学は相変わらず苦手だったけど、先生の授業は好きだった。

先生は、その日の日付と出席番号が同じ人を指すから、クラスで一番最後の40番の私が指されることはなかった。

だから私にとって数学は、先生をゆっくり眺めていられる時間だった。

先生がたまに授業中くだらない話をするのを笑う。

私と先生の接点はそれだけだった。

―――あの日まで。
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