僕は生徒に恋をした
先生は私の家が自分の家と近いことに驚いていたけど、私はお兄ちゃんから聞いていたし、実際に近所のコンビニで先生を見かけたこともあったから驚かない。

歩くのが遅い私に歩幅を合わせて一緒に歩いてくれるのが、とても幸せだった。

バスで通う距離だから、歩きだと遠いはずなのに、先生と一緒だとすぐに家に着いてしまった。

寒いのに、先生を遠回りさせてしまったせめてものお詫びにカイロを渡そうとして大失敗。

私はきっと先生におっちょこちょいだと思われたに違いない。

―――先生はそんな私にも優しかった。

嵐の夜。
一人で家いるのが怖くて、コンビニで時間を潰していた私を家まで送ってくれたのも先生だ。

家に着いた別れ際、先生を引き止めようかと迷ったけれど、断られるのが怖くてできなかった。

先生とはいえ、生徒のわがままに付き合って家にまでいる義務はないから。
< 179 / 374 >

この作品をシェア

pagetop