僕は生徒に恋をした
林原の言葉に俺は笑って首を振る。

「いや、そうじゃなくて…」

「ああ、絵のこと?」

俺は驚いて林原を見た。

林原によると、山田の絵は今までに何度も賞を取っているらしい。

「美大を目指してるみたいだけど」

彼が続けて口にした大学の名前は、芸術に疎い俺でも知っているくらい有名なところだった。

「そんなすごいんだ、あいつ」

俺は感心して言った。

「手嶋先生のお気に入りだからね」

林原がぽつりとつぶやく。

手嶋先生は美術の教師で、俺らの2年先輩だ。

少し気難しいが頼りがいのある先生で、俺が新人の頃は何かとお世話になっていた。
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