僕は生徒に恋をした
俺は保健室を出て、近くの水飲み場で顔に水をかけた。

何をやってるんだ、俺は。

山田を傷付けたくないから距離をおこうと決めたはずなのに、自分からその距離を崩してどうする。

俺は顔についた水滴を手で払い、自動販売機に向かう。

低血糖と言われたのを思い出し、お茶ではなくスポーツドリンクを買った。

このまま戻って山田の顔を見れば決心が鈍り、また彼女を抱きしめてしまいそうだった。

俺は保健室の扉の前まで来て立ち止まる。
まだ迷っていた。

ふと保健室の中から談笑する声が聞こえた。

ガラス越しに中を覗くと、山田のベッドの側には武内の姿があった。
後夜祭を抜けて様子を見に来たのだろうか。

廊下から中の様子が見える事実を知り、今さら自分の危機感のなさにゾッとする。
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