僕は生徒に恋をした
「―――大体…」

手嶋先生は再び溜め息をつく。

「俺はあんなに落ち着きのないやつは苦手だ」

噂は心外だと言うように眉をひそめる。

「―――じゃあ何で噂を知ってて放っておいたんですか」

俺だけでなく、林原も、きっと他にも誤解している人はたくさんいるはずだ。

「そんなくだらないことに時間を割いてられるか」

そうだ、手嶋先生はそういう人だった。

「―――振り回されるのは勝手だが、問題だけは起こすなよ」

手嶋先生は最後にそう言うと、立ち尽くす俺を残して職員室へと向かって行った。



こうして俺の恋は、こんな変な形で始まったんだ。
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