僕は生徒に恋をした
「じゃあ最後の番号の―――山田雛」

最後は山田だった。
男子の方の山田がホッと胸を撫で下ろすのが見える。

山田は最初に当てられたクラスメイトを恨めしそうに見ると、諦めて黒板の前に出て来た。

山田はチョークを持ち、頭を掻く。

俺はその様子を窓に寄り掛かりながら眺める。

山田をこんなに近くで見るのは、手嶋先生を美術室に呼びに行った以来で、久しぶりだった。

以前より髪が少し伸びただろうか。
前髪が落ちてこないように、ピン留めでおでこを出している。

ふと自分の視線が、山田のチョークを持つ手ではなく、彼女自身にいってしまっていることに気付き、慌てて教室を見回す。
まずい、これじゃ変態じゃないか。

生徒たちはそれに気付かなかったようで俺は内心ホッと息をつく。

気にしすぎか。

そのとき山田が俺を振り返り、手を合わせた。
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