僕は生徒に恋をした
「先生お願い、ヒント」

後ろ姿ばかり見つめていたせいか、急に山田と目が合って再び慌てる。

「数学にそんなんあるか。
公式使え、公式」

俺は苦笑して言った。

3-Bの授業は他クラスに比べても進んでいる方だから、問題を解くのに時間を費やしても構わない。

山田が黒板の前で問題を解くこの瞬間だけは、周りの目を気にすることなく彼女を見つめていられる。

山田には悪いが、これくらいの役得はあっても許されるはずだ。

******

放課後、非常階段に足を運ぶ回数が増えていた。

荷物を職員室に置き、ジャージに着替えると、部活が始まるまでには少しの時間しか残らなかったが、それでも構わなかった。
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