僕は生徒に恋をした
フェンスにもたれ、下を覗いて驚いた。

山田が芝生の上に横たわり、気持ち良さそうに寝ているではないか。

俺は慌てる。
無防備にも程がある。

制服のスカートで寝ているものだから、近づく人がいれば、中を見られたっておかしくない。

声を掛けるか一瞬迷う。
人の出入りのない非常階段に俺がいたと分かれば山田は不思議に思うだろう。

うまくごまかせるか分からないが、迷った末に声を出す。

「おい、山田」


俺の声に気付かず、気持ち良さそうに寝続ける山田に痺れを切らし、俺は非常階段を駆け降りた。
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