2 in 1

事実

数日後、
「今度は海の番だよ。」
とメッセージが届いた。“海”は、タイトル「僕の秘密」と書きかけて、指を止めた。ここで正直に告白すべきだろうか。本当に“一”を信用できるのだろうか。“海”は迷った。しかし、約束は約束だ。“一”もきっと勇気を出して打ち明けてくれたのだろう。今度は僕の番だ。“海”は覚悟を決めた。
「僕は女に興味が持てないんだよ。」
と書いた。指が震えていた。これで嫌われても仕方ない。お互いのためだ。嘘をついて相手を傷つけるくらいなら、自分が傷つく方がずっと良い。すると意外な返事が返って来た。
「ふぅん、そうなんだ。でも私は全然平気だよ。」
“海”は予想外の反応にどうしたらよいかわからなくなった。
「教えてくれてありがとう。」
「ねぇ、僕は君に会いたいよ。もっと君のことが知りたいんだ。」
「ごめんなさい。会うことはダメなの。でもそう言ってくれたら私もうれしい。今まで苦しかったでしょうね。でも、これからは大丈夫だよ。私がついているから。こんな私でよかったら、何でも話してね。」
「ありがとう。」
“海”は“一”に感謝した。理解してくれる人ができたと思うと心が楽になった。
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