2 in 1

HR

新学期が始まった。小春日和の中、2年B組ではホームルームが行われていた。学級裁判。テーマは“人を愛すること”だ。はたして人を好きになることに性別や年齢は関係あるのか。なぜ同性愛者を偏見したり差別することがいけないのか。同性愛をどのくらい受け入れることができるのか。普段みんなが思っていることを自由に討論した。
「恋愛は別に校則では禁止していない。」
「人を好きになることは自由だ。」
「愛は法律では縛れない。」
「例え同性愛でも純愛なら成立する。」
「同性愛者も社会で生きていくために悩んでいる。」「皆なりたくてなっているのではない。」
「皆同じ人間なのだから決して偏見や差別をしてはならない。」
「もっと他人のことを思いやることが大切だ。」
「受け入れることができる心の大きな人間になろう。」
いろんな意見が出た。担任の小岩も予想外の経過に驚いた。まだ幼いと思っていた子供でも、しっかりした意見や考えを持っているということがわかったたからだ。結局、結論は一つにはまとまらなかった。最後に辿り着いたのは、“同性愛も一つの愛のかたちなのだ”ということだ。2年B組は宇美の事件をきっかけに大きく成長しつつあった。
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