2 in 1

寄せ書き

雪がちらつき出したころ、宇美の自宅に小岩が訪ねてきた。そろそろ学校に来ないかと説得しに来たのだ。宇美はあんなに体に魅力を感じていた小岩にも会いたくなくて、部屋に閉じこもっていた。小岩は公から宇美の状況を聞くと、
「よろしくお伝えください。これを木村君にお渡し下さい。では、お大事に。」と言って一つの包みを置いていった。先生が帰った後、公が宇美の部屋にそれを持ってきた。包みには“木村君へ、2年B組のみんなより”と書いてあった。中は寄せ書きの色紙だった。“理解が足りなくてごめんなさい、早く学校へ復帰して下さい。”という趣旨で31人分書いてあった。クラス全員のメッセージを読みながら、宇美は溢れる涙をこらえきれなかった。嬉しかった。一人声を出して泣いた。
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