キスはおとなの現実の【完】

中途半端な場所でのひとり暮らしだが、二十歳そこそこの人間がぜいたくはいっていられない。

部屋を決めるときに会社のすぐそばは家賃が高く断念したのだ。家賃が安く、実家にくらべ通勤時間が半分になるという理由でこの駅を選んだ。

遊びにくる場所というよりも、住むためだけに帰る場所といった感じの駅。

駅まえは下町という雰囲気で、さびれた商店街が長く一本のびている。
軒をつらねているのは、パチンコ屋や焼肉屋や居酒屋なんか。
ほかにもコンビニ、スーパー、ドラッグストアと、ふじゅうぶんながらもひととおりのものはそろっている。