キスはおとなの現実の【完】
「そう」

でも、といってわたしの拒否をききいれようとしない母に、もう一度、大丈夫だよという意思をつたえる。

わたしがかたくなにことわるものだから、母はしぶしぶ了承した。

「わかった。身体にだけは気をつけてね。それから、たまにはメールだけでもいいからちゃんといれなさいよ。シオリがちゃんと元気でやっているのか、いつもみんな心配してるんだからね」

それはうそや脚色のない事実なのだろう。
母の家庭は、そういうところだ。
だからわたしは、お荷物になんてなりたくないのだ。

母は続ける。
< 30 / 224 >

この作品をシェア

pagetop