私のおかしな旦那さま
福岡市は右の街?
まだ出会って間もないころ、デートは大抵、

二人の住まいから一番近い市街地である福岡市の街で行われた。


今でも覚えているデートは、「右のトライアングルゾーン」だ。


私はまだ福岡市近郊に来て間もないころだった。

だから市内のデートは、大抵彼がナビゲートしてくれていた。

 
 ある日「いいものを見せてあげる」と言われ、

中央区の今川というところにノコノコついていった。


 すると、中野正剛という人の銅像が目の前に現れた。
 
中野正剛はジャーナリストや政治家として名を残しており、

玄洋社の頭山満とも親しかった人らしい。


 その際、「近くの大濠公園にはA級戦犯の広田弘毅の銅像があって、

またその近くの西公園には日蓮の碑がある。

これが右のトライアングルゾーン」と教えられた。


 今思うと、私が何も知らないからといって

よくもまあ平然と独断・偏見にまみれた思想を吹き込んでくれたものだ。


なぜこの人について行こうと思ったのかは、

当時の私でないと分からない。

彼の強烈なキャラクターに触れ、

私の頭もおかしくなっていたに違いない。



後々、広田弘毅に関する東京裁判の判決には異議が多いことを知った。

 
それでもまだ私は、福岡市は右の街だという印象が拭えないでいる。

本当の福岡の街ってどんなものなのだろう。


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