ディア・ロマンス
と。校内中にチャイムの音が鳴り響き、私と詩織はお互いに顔を見合わせダッシュで教室まで戻った。
あいつに対しては無視を決め込もう、そう思い教室へ駆け込んだが拍子抜け。隣の席の男の姿は無かった。
SHRが終わった後に詩織と一緒に私の席へと近寄ってきた光が教えてくれたけど、どうやら加島くんは私が教室を出るなり自分も帰ったらしい。
「玲には感心するよ。」
そう言って困ったように笑い頭を撫でてくる光に苦笑を浮かべた。
その後。
加島くんはすべての授業が終わっても教室に帰ってこなかった。停学処分をくらってたなら、授業には出るべきだと思うけど私にとっては好都合だ。
―――放課後になり、教室を出て行く生徒の波にのり私も帰路を辿る。