バニラ
つないでいない方の手で、恭吾があたしの唇をなぞってきた。

「理彩?」

もう、メールなんかどうでもよくなってきた。

パタンと、携帯電話を閉じるとテーブルのうえに置いた。

「メール、いいの?」

「別に、急ぐほどでもないから」

恭吾がニヤリと眼鏡の奥で笑ったかと思ったら、
「――んっ…」

唇を重ねてきた。

離さないと言うように、後頭部に手が回る。

口の中に舌が入ってきた瞬間、ビクッと躰が震えた。

そのまま、恭吾に後ろに押し倒された。
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