いつか想いが届くまで
というのは私は中学まで野球をやっていたからで…
たくやとも野球を通じて仲良くなった。

だけど、私には1つだけ心配な事がある。


「ねぇ、直樹くん」

「ん?」

「………今のままだと直樹くんを試合に出すこと、できないの…」

「は?何で!?」


直樹くんは頭突きをする勢いで私に詰め寄ってきた。

試合のルールで長髪は禁止されている。
だけど今の直樹くんの髪型はどう考えても長髪で…
このままだと直樹くんを試合に出すことができないのだ。


「ばーか、直樹のその髪型がヤバイんだよ」

「え?そうなの?」


直樹くんはシュンとした感じでゆっくり座り込んだ。

「直樹くんさ…すっごい野球うまいから試合に出ないのは…もったいないよ」


私は思いきって自分の気持ちを言ってみる。
確かに直樹くんの髪型は素晴らしいけど……


ガタンッ


たくやと私が直樹くんを見つめていると、急に直樹くんが立ち上がり、教室を出ていこうとする。


「おい!!直樹、どこ行くんだよ」

「………俺、早退するわ……
午後の授業出ないから言っておいて」


ガラガラ

あまりにも直樹くんが元気を無くしたまま教室を出ていくので、何人かの生徒が心配そうに直樹くんを見ていた。


「あいつ多分髪切ってくるから」

「え?」

「俺には分かる」


そのたくやの言葉通り、直樹くんは翌日、坊主頭で登校してきた。
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