10/16 PM12:30
それから…


一人の男は、学生寮で目覚まし時計を止めた。と、同時に目を見開いた。

「う…そだろ…?」

遅刻である。
大学への道のりを全力疾走していた。そして門をくぐり、講義の始まりと同時に部屋へと入った。

当然、笑い者だった。
同じ講義を受けていた友達は、はぁ…とため息をついた。

男は赤面して、丁度今ため息をついた友達の隣に座った。

「なにやってるんだよ!!」

「いや…寝坊して…。」

その言葉に友達はまたため息をついた。

男は手帳を開いた。

「10月16日…か…。」

それだけ言うと、少し頭がハゲかかっている50代のベテラン教授の話に耳を傾けた。

…じっと…アイツが見ていることも知らずに。



「お前バカじゃないん!?」

友達にお昼を食べながら叱られる。

「…いや〜、懐かしい夢見ちゃってさ〜…。」

それで、チェンメを作って友達に回したことを話した。

「お前、しょうもねぇーな!!バカか!!」

友達は呆れていた。

そんな天気のいい10月16日。

男の声は静かなそいつにも聞こえていた。

「…ミーツケタ。」

< 10 / 20 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop