Foolish boyfriend~5年前の約束~

「へぇー、あんたが。ええやん、男前で。確かに中村と雰囲気似てんなぁ」


「あほ、似てへんわ。俺、中村大翔ちゅーねん。よろしくな」


少なくとも、中村には仲良くしようという気があるみたいだけど。


「ん、ああ。俺、伊藤達哉」

あらら、意外に素直。


「なぁ、伊藤君。今日祭りあんねんけど、舞子と一緒に行ったら? 2人会ったん久々やってんやろ?」


あー、そういえば前に杏が言ってたかも。結構大きな祭りがあるって。

今日だったんだ。


「あー。うん、まぁ久々だな」


「毎年花火あがるし。2人で行ったらええよ」


「え、でも、この前杏一緒に行こうって言ってたやん」


ジワジワと汗が出始める。

夏特有の蒸し暑さが、あたしたち4人の周りを取り巻いていた。


「久しぶりに会ってんやから、2人で行けよ。俺らは俺らで行くし」


「なんや、また今年も中村と行かなあかんのか。仕方ないなぁ」


いつもの、喧嘩が始まるような雰囲気だったから、達哉の手を引いて家の方向に歩き始めた。


「あの2人幼なじみやから、よく喧嘩するんだよね。やから、ほっといても大丈夫」


「ふーん、そっか」


何だかちょっと不機嫌かもしれない。

久しぶりに会ったけど、覚えてるよ、この感じ。
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