Foolish boyfriend~5年前の約束~

「大丈夫だって、何もいねぇよ」


「そうじゃなくてー、あたしは幽霊的なものを心配してるの! 何か出そうじゃん」


その辺からニュッて変なものが出てくる可能性だってね、ないわけじゃないよ?

怖いじゃん。きっと出るよ、ここ。


「何、舞子見えんの?」


「いや、見えないよ。見たくもないよ。見ちゃっても見てないふりするよ。」


「じゃあ問題ないだろ。俺も見えねぇし、舞子も見えねぇんなら、いてもいなくても変わんねぇよ」


ん?

そういうもん?

見えなきゃいてもいいって?


冗談じゃない。出来ればいてほしくないでしょ。 うっかり、見えちゃったらどうすんのさ。


「でもさ、いないほうが…」


いないほうがいいじゃん。

そう言おうとしたとき、でこぼこだった道が少し歩きやすくなって、前の方に光が見えた。


「もうつくよ」


うっすらと見える光。

その近くには、何故かポツンとベンチが置いてある。


「とうちゃーく」


満面の笑みの達哉の顔が、照らされて少しだけ見えた。


「わぁ…っ!」


低い木の柵の先に、キラキラ光った夜景が見える。小さな光がたくさん見えて、星空を見ているようだった。


「すごい……綺麗…」


こんなに綺麗な夜景、見たことない。


「だろー?」


「うんっ、すごい!」

クリスマスだから、イルミネーションでよけいにキラキラ光ってるんだろうな。
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