戦国彼氏
「んぢゃもう一回リベンジする~ッ。」


その時、ドアがノックしてお母さんが顔を覗かせた。


「新政くん。夕御飯食べていかない?」


「…え?」


「そうだよッ。食べていきなよ!」



「じゃあ…お願いします。」



ペコッと軽く頭を下げる。


その表情は何か照れくさそうだった。




―――――――………


市川家の夕御飯は豪華なしゃぶしゃぶ。


たぶんお母さん…はりきって作ったんだろう。


「お肉~」


私は席につくとお箸を掴む。


「いっぱいあるからどんどん食べてね♪」


「はいッ。野菜。」


私は唯井新政のお椀に野菜を天こ盛りによそう。


「…肉はどこだよ。肉は。」


「市~。ちゃんと彼氏くんにお肉あげなきゃダメだぞぉ。」


酔ったお父さんが唯井新政に絡み付く。


もちろん唯井新政は苦笑い…


「…おいしい。」


唯井新政は小さな声で呟いた。


「お肉は市のだからねッ!あげないよッ!」

…といつまでも言ってる私。


でも唯井新政は笑っていた。
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