銀杏


「そんな…。あ、じゃあ、お願いがあります。」

「何?」

「もう一度、あの曲聴かせて下さい。先輩の都合のいい時でいいですから。」

「お安いご用だよ。落ち着いたら連絡する。」

じゃ、と言って差し出された右手に右手を重ね、ぎゅっと握手を交わした。

「先輩、お元気で。」

「ああ、一文字も。友美、行こうか。」

「またクラブでね。」

「うん。バイバイ。」

二人肩を並べて歩く姿はとってもいい雰囲気で羨ましくなった。

友美にしてみれば、咲と尊がずっと羨ましかったのだから、どっちもどっちといったところなのだが。




< 208 / 777 >

この作品をシェア

pagetop