銀杏


色んな思考が頭の中をぐるぐる回って、つい長湯してしまったらしい。

「咲~!風呂まだー?」

脱衣所の外から尊が大声で叫んだ。

「ごめーん!今上がるか…ら…」

立ち眩みがしたと思った。

体から力が抜ける…。



冷たい…気持ちいい…

誰かが…呼んでる?

…咲……咲…

北条さん?……違う…

目の前が真っ暗。何も見えない。

火照った体が少しずつ冷めていく。

ひんやりとした手が真っ暗にしていたものを取り払ってくれた。

最初に目に入ってきたのは尊の顔。
心配そうにおでこに触れる。

「どこも頭打ってないか?」

おでこから頭全体を触って確認する。

「ん…大丈夫みたい。」

ほっとした表情を一瞬見せたかと思うと、今度は仏頂面。

リビングのソファーに寝かせられた咲をじぃーっと見下ろす。




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