銀杏

それぞれの日曜日



夏休みが終わり、新学期を迎えた。

尊は高校生全国大会三位という肩書きからか、また周囲が騒ぎ始めた。
でも本人は至って普通。いつもと変わらない。何処吹く風といった感じだ。
適当にあしらうことを覚えたみたい。

尊に『お祝い何が欲しい?』と訊かれて『キス』と答えた時、尊の欲しい物を訊いてなくて、後から訊いたら『もう貰った』と答えた。

何をあげたっけ?
考えてみたけど思い当たらない。
尊の考えてることはよくわかんないや。

文化祭を終える頃、進路調査が行われた。
まだそんなにきっちりとしたものではなく、進学か就職かを調査するだけのもの。
尊の両親に世話になってる手前、進学したいとはなかなか言えない。
ネットで調べてみたけどお金が随分かかる。

やっぱり就職なのかなあ。
本当はもう少し水泳を頑張りたい。
でも今の成績では推薦をもらえるかどうか…。
それにきっと尊は進学すると思う。
だったら私は…無理だよね。




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