銀杏

揺れる心



咲が大学四年になった春、佐古田先輩は帰国した。

友美は弾んだ声で帰国が決まったと報告してきて、その勢いたるや凄まじかった。
その声は叫んでると言っても過言ではない程の音量で耳にキンキン響く。
興奮して一気に捲し立てた。

電話ではもどかしかったらしく、「直接会って話す」と言われた。

咲はただ友美の話に頷くばかり。
嬉しそうにしてると思っていると、急に一点を見つめ睨み付けるように怖い顔をした。
すると「大体、聖司くんはずるいのよ!」と文句が飛び出した。

何事かとびっくりしてると「ちっとも帰らずにメールもしない。私がどんな想いをしてたか知ってるか!ってのよ。」と力説する。

友美は先輩がフランスへ行ってる間に、青い目の金髪美人に囲まれてヘラヘラしてるんだ!なんて言う始末。

見ると手にはビールジョッキを握って目は据わってる。

いつの間にビールなんか…?



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