銀杏


結果、尊はベスト8に向けての試合は、ストレートで負けた。
そう簡単に世界を相手に勝てる訳がない。

試合直後の悔しそうな顔がチラリと映る。
でもいつもの無表情にすぐ変わり、コート中央で軽く握手を交わす。

きっと疲れてるだろうな。帰ってきたら何をしてあげよう?

う~ん。

きっとお義母さんがお祝いする。
私ができることで尊が喜ぶこと…て何だろう?

以前、『お祝い何がいい?』と訊くと『もうもらった』と言われたことがある。
何のことだか分からなくて、今でも分からないままだ。

空港まで迎えに行こうか。

それとも家で待ってハグ…?

…マッサージ?

小さくため息を吐く。

結局、私の考えることはお金のかからない、子どもが考えるようなこと。
これじゃあ、呆れられるよ。

サプライズみたいなことしても、ただ冷静に受け止められそうだし。

あーぁ、もうちょっと喜んだり引っ掛かった振りとかして、可愛くできないものかしらね。

あ、お義母さんみたい。ははっ、お義母さんになった気分だ。



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