スイーツラブ~お菓子みたいな甘い恋~[短編集]
Little Snow

1‥小さな恋心

彼の存在に気づいたのは、高校に入学して電車通学にも慣れ始めた、四月の半ば頃。


下校する生徒たちの波を抜け。

あたしはいつも、最後尾の車両に乗り込む。

乗車して向かいのドアにもたれ掛かり、外の景色を見るのが最近のお気に入り。


春の空は花曇りで。

流れる景色が眠気を誘う。


学校の最寄り駅から3つ目が下車駅なんだけど。

いっこ手前の駅に差し掛かると、あたしの目は自然と冴えた。

徐々にスピードを緩めた電車が、ホームへ滑り込んでゆく。


――トクン。


ベンチに座る学ラン姿を見つけて、あたしの心臓が小さく跳ねた。
< 57 / 70 >

この作品をシェア

pagetop