四竜帝の大陸【青の大陸編】
「もう外、暗いよ? 帰るの危ないと思う。泊ったほうがいいですよ?」

帝都って、けっこう遠いみたいだし。
こんなちっちゃい竜が一人で夜道(夜空?)を帰るなんて……。

「は? 泊るっ!? 冗談じゃねぇ。俺様もさすがにそれは……」

離宮は敷地自体は広いけれど居住スペースは少なく、1つだけある客間はカイユさん達が使っている。
私の使ってる部屋は二間続きですごっく広いから、泊まれますよ?

「私の使ってるベット、大きいから私とハクちゃんと竜帝さんと寝れるので大丈夫!」

なんて素敵!
白い竜と青い竜と……両手に花! 
鱗のある竜と川の字で寝れるなんてっ。

鱗・私・鱗!

うふふ~ん。
うわ~、ナイスアイデア。 
まさに鱗パラダイス!

「なっ? お、おちび! てめぇ、俺様を殺す気……ぐぎゃっつ?!」

白く長い指が、竜帝さんの細い首を締め上げていた。
そのまま持ち上げ、白い石の床に叩きつける。
お約束のように青い竜を踏みつけるのは……。

「<青>、貴様……我のりこと同衾するだとっ!?」

真珠色の長い髪。金の瞳に黒い長衣。

「だ、だめー! ハクちゃん、やめてー!」

世界を滅ぼす悪の帝王登場ですか!
鍋の中に居たんじゃないの!? 
鍋、鍋~!!

「やめなさーい!」

がしっと掴み投げつけるとそれは見事、顔面にヒットし床に落下!
高い音を立てて転がった。

カーンカラカラカラカラ~ン。

「姫さんってけっこう乱暴だよなぁ~。豚、焼けましたけど食いますか陛下?」

鍋の蓋は、人に向かって投げてはいけません。
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