四竜帝の大陸【青の大陸編】

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テーブルの上に1メートルはありそうな子豚の丸焼きが銀製の角皿に乗せられ、どどーんと置かれた。
子豚がこんなに大きいなら、親は牛より大きいのでは……。

「姫さんは豚肉は苦手だから、これな」

ダルフェさんが私の前に置いてくれたのは、4種類のお菓子が盛られたお皿だった。

「異界語を俺に使ったから本来はデザート無しなんだが、特別な。姫さんには糖分が必要だ。今日は大変だったもんなぁ~、お互いに」

うん。
大変でした。
でもね、ダルフェさん。

「ありがとうダルフェ。でも‘大変’はまだ終わってない」

そうなのです。
‘大変’は現在進行形です!

「おちびー! じじいをなんとかしろよっ」

竜帝さんが床で叫んだ。

「……足、どけなさいハクちゃん!」
「しばし待て、りこ。<青>に止めを……」
「手出ししないって言ったでしょう?!」
「うむ。手は出してないぞ?」

屁理屈言ってるし!
寒気がするような美貌は無表情。
鍋の蓋を顔面にうけたのに、変化なし。
痛くないの!?

「足も駄目。蓋、ごめんなさい。やりすぎました」

一応、謝っておこう。
大人気なかったし。

「蓋? <青>がりこを誘惑したことに気をとられてたからな。気がつかなかったぞ? 蓋がどうかしたか?」

はっ?
なんですと?
そのお綺麗な顔面にヒットしたんですけど。
しかも誘惑って何!?

「トリィ様。ヴェルヴァイド様は雄の本能に従い他の雄を排除するほうに意識が向いているようです。先ほどまでは抑えていたようですが、トリィ様がその……陛下をお二人の寝所に招くとおっしゃったので。陛下はつがいを得ていない独身の成竜です。お怒りになるのも無理ないことと……」

カイユさんが苦笑しながら言った。
ダルフェさんが追い討ちをかけるように付け加える。

「あのなぁ姫さん。大事な大事な妻が他の雄をベットに連れ込もうとしたら、人間だって怒るだろうが。誘った妻じゃなく被害者を責めるってのが、竜の雄の悲しい性っていうかなぁ。蜜月期中は特に雌至上主義だからどんなに理不尽だろうと旦那が姫さんを怒ることはないんだよ」

わ、私が悪いの~?
ベッドに連れ込む!? 
そんなつもりじゃなくて……うわっ、よく考えたら竜帝さんだって竜族なんだから人型になるのよね!?

成竜って、人間でいえば成人ってこと?
つまり餓鬼竜だと思ってたけど、竜帝さんって大人!
がきんちょだと……10代後半位だと思っていた。
ん? 
10代後半だって、身体的には大人よね!

「お、おちびぃ! 言動には気をつけろ! ってかさっさと助けろぉおお!」

はい。
私が悪かったです~!

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