四竜帝の大陸【青の大陸編】

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罰ゲームのような食事を終えると、カイユさんがお風呂を勧めてくれた。
起きたばかりは手足が少しだるかったけれど、食事を終えるころには治っていたので入浴に支障はなさそうだっだ。
ハクちゃんは私が1人で入浴することに対して体調面での心配は口にしたけれど、一緒に入るとは言わなかったのでほっとした。
自分のせいで私の体調がおかしくなったことが、かなりこたえているのか……いつもより若干おとなしい気がする。

「りこ。我は扉の前で待っている。体調に異変を感じたらすぐに呼べ」
「うん。ありがとう、ハクちゃん」

ハクちゃんが……まともな事を言ってるし。
まともなハクちゃん。
なんか調子が狂うというか。
正直に言うと、ものたりないというか。
う~ん。
私もすっかり、ハクちゃんの強烈&奇天烈に慣らされてるのね。

 
カイユさんに寝室の隣にある浴室に案内され、大急ぎで髪と身体を洗い用意されていたワンピースを着た。
白地にカラフルな小花の刺繍が裾から太もも辺りまで丁寧に施された可愛らしいデザイン。
長袖で、丈はやはり長い。
竜族の男性は奥さんが露出の高い服を着るのを嫌がるという事で(奥さんなのかな?私も一応は)セイフォンで用意されたのも、長袖で裾の長い物ばかりだった。
首・胸元もしっかり隠れるデザインは、見た目ほど苦しくも暑くも無い。
きっと素材や縫製方法に工夫がされているんだと思う。
私の趣味とは違うけど、せっかく与えられたものにけちをつけるほど子供じゃない。
衣食住全て面倒見てもらっている立場だし、私に与えられてる物や環境はお金がかけられたものだと分かっていた。
このワンピースだって、文無しの私が着るものとしては高級過ぎる滑らかな手触り。
竜帝さんの会社、お給料はどれくらい出るのかな?
お給料が出たら自分の服を買いたい。
この1ヶ月、与えられた衣類を身に着けてきた。
久々に自分の意志で洋服を選んでみたい。
今まで出されてきたような上等な物じゃなくて、身の丈にあった服がいい。
お手ごろな価格ラインで商品を揃えてるお店が、帝都にあるといいんだけど……。
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