四竜帝の大陸【青の大陸編】
このまま。
ハクちゃんと全部が混じって<私>が、消えてなくなると思った。 
死んじゃうのかなって。
それでも、いい。
そう思ってしまった。

「ハクちゃんの身体にも、赤いのがちょっと付いてるよ? お風呂、入ろうよ。たおるぶくぶくをバスタオルでやってみない? すっごいぶくぶくが体験できそうじゃない?」
 
もし。
私を自分の手で殺してしまったら。

もしも。
私が死んだりしたら。
ハクちゃんは……。

「りこ歌謡オンステージも本日はスペシャルです。リクエスト、OKですから! なにがいいかな?」
 
ごめんなさい。 
貴方の心を傷つけた。

でも。
どうしても。
貴方が。

「……さぶちゃんの」
「ん?」
「とんとんとーんっていうのが良い」

ハクちゃん。
なかなか渋いチョイスです。

「了解! よし、お風呂で遊んで歌って踊ってパーっといきましょうぉ!」

  
私がちゃんと覚えてるのは。
しっかりと思い出せるのは。
ハクちゃんがしてくれたキスだけ。

ひぃえぇえー、うわぁ~っ、うひょぉおお~って思っていたら。
思っていたら……うん、まあ。
秘密です。




溶室に行くと、浴槽には清潔なお湯が張られていた。
赤い液体はすでに綺麗に処理されていて。
カイユさんがお風呂の支度をしてくれたようで、籐の脱衣駕籠には数枚のタオルと着替えが用意されていた。
寝室からも廊下へ直接でるドアがあるから、カイユさんはそこから出たのかな?
居間には来なかったし。
私はハクちゃんを湯船に入れてから、あることに気づいた。
うっ!?
盛り上がって(?)ここまで来ちゃったけれど。
一緒に入る……私達、入るの?!
す、すんごいちゅ、ちゅうした仲なんだし! 
よし、行ってしまえぇええ~!
ちゅうどころか……もっとすごいこと、しちゃったんだし。
記憶があまり無いけれど。

「お風呂に、入ろう! ハクちゃん」
「うむ」

バスローブを勢いよく剥ぎ取り、お湯に入った。
さぁ、旦那様のために元気良く歌いましょう!

「こほん。では、いきます」

恥ずかしいのは、ここまでだった。
よく考えたら1ヶ月間ずっと一緒だったんだし。
元気が無いハクちゃんの様子に奮起した私は、サブちゃんメドレーを熱唱し、計画通りにバスタオルで“ぶくぶく”をした。

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