四竜帝の大陸【青の大陸編】
なんですと?

私の朝ごはんに立候補するほどだったじゃないの!
あっ、ハクちゃんったら私を見てため息をつきましたね。
ちょっと、感じ悪いな~。
ため息姿も可愛いけどね。

「私が違う世界の人間だから、友達不可なの? 親切(なんか違うかな?)にしてくれたから私、てっきり……」

ううう~。 
へこんできちゃったよ。
まさに‘凹‘って字な感じ。

「りこは‘つがい‘だ。友達関係ではない。……感情が暗くなったな。なぜだ?我はりこの思考を勝手に読むことはしたくない。我に向かって‘話‘をしてくれ。りこは大切な‘つがい‘だ。永遠の‘伴侶‘なのだから」

 ちょっと待て。

「人間社会では夫婦とも言うんだったな。ふむ。夫と妻か。だが人間は相手を自由に変えるが竜は違う。我の妻はりこだけだ」

ちょ……ちょっと待って!
ハクちゃんの言ってる内容って、かなり重要だよね?
つがい・伴侶・夫婦・夫・妻……妻!
このおちび竜の妻?
妻って……こっちの世界って異種結婚ありってこと?
いやいや、そこじゃなくてさ。
いつ、ハクちゃんとそのようなロマンスに?
まったく無かった気がする。
高校生の時に呼んだ異世界トリップ小説だとラストはイケメンと結ばれるけど、その前にいろいろ主人公達の甘酸っぱいエピソードが……。

「落ち着け、私! 第一、私には安岡さんっていう恋人(一応)が、婚約者がいるじゃない。ハ……ハクちゃん、困るよ。私、秋には結婚が決まってるの」

元の世界に帰れたらだけど。
あ、早く昨夜のイケメン君と美少女に詳細を確認しなきゃ。
帰れるのかどうなのか。
すぐに帰れるのか、時間がかかるのか……帰れないのか。

「だから、ハクちゃんの妻には……!」

固まってた。
ハクちゃんが。

私の眼を下から覗きこむ姿勢で。
金の瞳を見開いて。
精巧な人形のように。

「ハ、ハクちゃん。あの、その」

どうしよう!?
きっと、私はこちらの世界のことが分からないから。
知らないうちに私から、プロポーズ的な言動をしたのかもしれない。
思い当たるような甘いやりとりは無かったけど。
きっと、なんか勘違いさせることをしちゃったんだ!
 
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