四竜帝の大陸【青の大陸編】
「えっと、そのね。あのね…あっ」

びっくりした。
ハクちゃんの金の眼から小さな真珠? 
みたいなものがぽろぽろと溢れ出て、地面に転がっていく。
金の眼は瞬きすらしていない。

金から純白が生まれる。

「ハクちゃ……」

とめどなく生まれ・溢れ・転がる……。
幻想的で美しく……悲しい光景だった。

ああ、泣いてるんだ。
ハクちゃんが。

綺麗なハクちゃん。
綺麗な……綺麗な涙。

朝の日差しが反射して、きらきら光ってる。

「ごめんなさい……ごめんね、ハクちゃん。私……」

言葉に詰まっってしまう。
なんて言ったらいいのか。
どうしよう。
傷つけた。
私はハクちゃんを、とっても傷つけたんだ!

「……許さない」

頭の中に強く響いた。
痛いくらいに、強く、深く。
怒ってるんだね、無理ないよね。
瞬きをゆっくり一回した金の眼から、溢れていたものが止まった。
  
「りこは我の‘つがい‘だ! りこを我から奪う者は<処分>する! りこが元の世界に帰るなら共に行く。恋人も婚約者も消す」

なっ?

「りこを帰す術式は存在しないから、婚約者とやらの<処分>は後回しだ。禁を破って完成させる術士がいるかもしれんな。では、世界中の術士を殺してしまえば良い!才能のある者から<処分>するのがよいな。この国なら……まずはミー・メイからだ。うむ、よい考えだ」

ハクちゃんは何を……<処分>とか殺すとか、どうしてそんな怖いこと。

「りこ、りこ!安心するがいい。我が憂いを片付ける。我は<監視者>。この世で最も力ある竜。これからは‘つがい‘であるりこの為に力を使おう!りこさえ居てくれれば世界の秩序などどうでもよい」

ハクちゃんは私の否定を聞いてなかったの?
どうして……私なんかに執着するの?
女子高生みたいに若くないし、絶世の美女でもない。
スタイルだって並みなんだよ?
26年間、彼氏無し。
恋愛経験無しの私なんだよ?
ハクちゃんなら竜の女の子にもてて、選り取り放題なんじゃない?

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