四竜帝の大陸【青の大陸編】
「あの巫女王は、自分を殺しに旦那が戻ってくるのを待ってますよ、きっと」

<赤い髪>が言った。

「あの女。何年でも……死ぬまで待ってるでしょうに。相変わらず酷い男ですねぇ」

我には女帝にくれてやる『心』など無い。
王女の精霊になる気も無い。
魔女は‘うざったい’が、殺すほどでもない。

お前達の愛など。

興味も関心も無い。

我が想うのは。
我が欲しいのは。

「<青>、異界の玩具をかせ」
「これだ。けっこう難しいぜ……って、おい?!」

我は玩具を<青>に放った。
 
「つまらん」

すぐに揃った色。
あのように、ばらばらだったのに。

つまらん。
女と同じだな。
一見多種多様なようでいて、抱くと違いが無い。
結局は。
我にとっては肉の出し入れと排出の繰り返しにすぎぬ。


「…………」

なるほど。
暇だ。

暇で、つまらない世界。
無くしてしまおうか?

ふむ。
もう少し。
もう少し、待ってみるか。
竜の始祖も言っておったしな。
 
いつか。
いつか、きっと。
我の“暇”は消えると。

<古の白>よ。
お前が言ったのだ。
竜になれば、我の望みが叶うと。

我の望み?
時間が経ちすぎてはっきりと思い出せないが。

暇を望んだんじゃないはずだ。
我が望んだのは。
我が欲しかったのは。


「あなたはハク。私は鳥居りこです。これから末永くよろしくね!」


我の欲しかったもの。
 
「我はハク。そうか、そうだったのか!くくっ……はは」

見つけた。

「我の名を呼べ、りこよ!」

見つけた。
 
我の。

我の、りこ。

我のすべてを、貴女に捧げよう。 

だから。

もう。
我を。

「大好き。私の白い竜」

独りにしないで。

愛しい貴女に、永遠という監獄を。



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