四竜帝の大陸【青の大陸編】

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夕食の片づけが済むと、カイユさんが今後の予定を話してくれた。
帝都までは四泊。
もっと早く着くことも可能だけど、速度と高度をあげすぎると人間の身体には負担になる恐れがあるので、最も一般的で安全な速度と高度を維持して……遊覧飛行みたいにのんびり進むことを選択したこと。
道中は寄り道なし。
ダルフェさんは無休憩・飛びっぱなし。
それを聞き、慌てた私にカイユさんはにっこり笑った。

「これぐらいのこと、私達には全く問題ありませんわ。竜騎士は普通の竜族より頑丈ですから。この私ですら、2週間絶食し無睡眠の後に御前試合で魔……セイフォンのセシー閣下をぶちのめしたんですよ? うふふ、手足をぶらぶらにしてやりました。あぁ、陛下が止めたりしなければ、ばらばらにしてやったのに。惜しいことをしました」

ダルフェさんは問題無しで……セシーさん?
セシーさんが手足をぶ、ぶち、ぶちちでぶらぶら?
分からない単語があったために首をかしげた私に、カイユさんが簡単に言い直してくれた。

「セシー閣下に試合で勝ちましたの。快勝でした」

なるほど。
なにかスポーツで試合して、カイユさんが勝ったのね!

「すごい、カイユは運動も得意なの?」

美人で優しくて、運動神経も良いなんて。
完璧です、うん。
 
「はい。私、‘運動’はとても強いんです」

運動は強い?
何か変だけど。
ま、いいか。

「りこ、りこ」

私の膝で丸くなっていたハクちゃんが、顔をあげた。

「ハクちゃん、どうしたの?」

小さな頭を撫でてあげると、金の眼を細めて私の手のひらに頭を押し付けてきた。

「この先に雨雲が発生しているらしいのだ。風も強まるだろう」

お天気が悪くなるってこと?
やだ、ダルフェさん大丈夫!?

「大変っ、雨が降ったらダルフェさん、濡れちゃう。風も強くなるなんて……駕籠も揺れるの?」

ダルフェさん、風邪をひいちゃうかも。
それに。
ちょっと、怖い。

前に飛行機で北海道に行った時に悪天候で揺れ、すごく怖かったし気分が悪くなって吐いてしまった記憶が蘇る。
うう、吐いたらどうしよう!?
 
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