四竜帝の大陸【青の大陸編】
「我のりこはお前を気に入っている。お前はりこの‘部品’として役に立つしな。そういえば……りこに泣かれたぞ。側に居てくれと。……我が染め上げた瞳が涙に濡れるさまは、思わず貪り食いたくなる程に魅惑的だったが我慢した。‘褒美‘は後にとっておき、たっぷりと……ゆっくり時間をかけ、しっかりといただくことにしたのだ。うむ、我は賢くなったな」

==うわぁ、姫さん可哀相に。ほどほどにして下さいよぉ、旦那。カイユにまた怒られちまう。

「カイユ……あれは良い‘部品‘だ。りこにとって、とても良い。りこは今後も、あれには執着するだろう。あれの血には末々まで、りこは執着するぞ?」 

旦那は俺の額にちょこんと座り、笑った。
声無いそれに、背筋が凍る。

「もっと、もっとだ。この世界にりこを閉じ込める餌が必要なのだ。我の愛しいりこの執着する‘部品‘がな。以前……我はりこに世界をやろうと言ったのに、断られた。欲しがらぬなら、欲しがるようにしむけるだけだ」

ああ。
可哀相な人だ。
旦那は、まだ分からないのか?
姫さんが、どんなにあんたを愛しているか。
気づかない……気づけないのか、解らないのか。

どんなに想われても、愛されても。
足りないのか。

不安なのか。
怖いのか。

==ま、そりゃそうと。ねぇ、旦那、陛下はどうです? 姫さんの‘部品’になれますか?

「審議中だ。りこにふさわしくないなら<処分>して、新しい<青>に替えるだけだな」

替える……まるで物のように言ってるが、つまり陛下を殺して強制的に次代える代替えさせるってのか!? 
 
==まったく、旦那はおっかないっすねぇ。腹、真っ黒なんじゃないですかぁ?

俺の言葉に。
旦那は自分の腹に視線を落とし。

「白いぞ?」

 と、言った。

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