四竜帝の大陸【青の大陸編】
「xxxx!」

 雑音。

「xxxxxxっ!」

 雑音だな。

「おいっ、じじい! おちびがいねえぞ! どこに隠しやがった、エロじじいっ!」

雑音……む?
<青>の気配だ。

うむ?
だいぶ復旧したな。

歓喜と感動のあまり、死にかけたぞ。
さすが、りこだ。
我の女神よ!

「がーっつ! じじい! 死んだ振りして何、遊んでんだよ?! 珍妙な格好してるしよぉ〜、おちびは無事か? 抱き潰して……ぐぎゃっつ!」

<青>が我に触れようとしたので、蹴り飛ばした。

「ぱじゃまに触るな、愚か者めが! これはりこの我への愛の証な……」
「んなことより、おちびはどうした?! ダルフェがカイユをうまく誤魔化してるが限界だぞ。30分しかご褒美タイムは取れなかったが、後で仕切りなおすって事で勘弁してくれよ」

ご褒美。
りこ。
りこ?
りこっ!?

「ってか。その様子じゃ、ダルフェの言ってたご褒美はなしか? 最中に邪魔したらぶっ殺されるからって俺様に呼びに行かせるなんてよ。あいつは臣下としての心構えゼロだぜ! なぁ、じじいよぉ。盛んのは、城でおちびを休ませてからにしてやれよ。おちびが可哀相って……で、おちびは? 寝室にもいねえじゃん。かくれんぼかよ」

りこ!!

「ダルフェ達は俺の執務室だ。外はひでぇ天気で、とてもおちびを歩かせられねぇ。じじいが術式で執務室に連れて……じじい?」

りこ。
我の。
我の、りこっ。

気配。

少し離れている。 
 
外?

りこ。
外に。
 
我をおき、外に出たのか!?


雨からも。
風からも。
りこを護りたい。

柔らかな身体も。
暖かい心も。
りこの全てを。
我が護りたいのに。

何故。
りこは外に出たのだ!?

我を、置いて。
我から、離れて。

我は。
また。
りこを傷つけたのか?
そして。
愚かな我には。
その理由すら、分らないのだ。 

我は無知で無能な愚か者だったのだと。
りこに会ってから知った。

我は我が、嫌いになった。

愛しいりこに、会ってから。
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