四竜帝の大陸【青の大陸編】
カイユさんは咽喉がちょっと痛い私のために、薬を調合しますと言って、病室から出て行った。
食事の終わった私は、着替えを始めた。
スリップドレスの上に、ちょっと厚めの生地で出来たワンピースを着る。
ハイネックで、袖は手の甲まで隠れるデザインで。
全体が薄い紫で、袖と裾に白い花の刺繍。
当然のように長い裾にも慣れて、踏んだりすることも少なくなった自分に関心してしまう。
ちなみに。
ハクちゃんの前で着替えるのは抵抗がほとんど無い。
でも、さすがに下着を脱ぎ着する時は後ろを向いてもらってる。
お風呂も一緒に入っている(竜体でだけど)仲ですが。
目の前でパンツをがばっと脱いだりはいたりするのは……なんか、こう、ちょっとねぇ。
……パンツっていっちゃう私。
大人の色気ゼロだ。
せめて、ショーツとかアンダー?
なんか違うような……。
うん、色気はあきらめよう。

「ん……ここをこうして……」

柔らかなシフォン素材の帯を腰に巻いて、端を間に仕舞って。
帯止め用の細い飾り紐を結んで出来上がり~っと。
帯の締め方も、すっかり上手になりました。

「常々思っていたが……りこはすごいな。自分で全ての衣類を身に着けることが出来るとは」
「え?」

この発言から。
新たなハクちゃんの生態(?)が発覚した。




「おい、じじい」
 
私が着替えて数分程で竜帝さんが、ふわふわ飛びながら入ってきた。
それはそれはお行儀悪く。
右手に持った大きなソーセージを齧りながらのご登場だった。

そして。
噴いた。
 
「おはよう、竜帝さん。もうっ、なに吹き出してるのっ!?」

吹き出すと同時にハクちゃんが振り返りもせずに、指をちょいって曲げたら。
ソーセージの雨は全て、竜帝さんに集中して飛んでいったので私は被害ゼロ。
ソーセージの残骸まみれの青い竜。
情け無いうえに、非常に汚かった。
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