四竜帝の大陸【青の大陸編】
おのろけのも程があると思って、心の中で思うだけにしてたのに!
こんなにべた惚れなんて、本人の前で……恥ずかしいっ!
しかも綺麗で美人って、普通は旦那様に使わない褒め言葉では?
でもね実際、ハクちゃんは作り物みたいに綺麗であって!
悪役系の顔だけど、美人は美人でしてえぇぇ!
うう~っつ。
こ、こういうのを世間では羞恥プレイっていうのかな?
顔に血が集まって、熱い。
きっと、真っ赤になっている。

「そうか」

ハクちゃんはうんうん頷き。

「つまり……我は、かわゆくて・ものすんご~くかっこよくて・綺麗で美人。そして世界一りこ好みということだな」
  
ううぅ~、好みとは、言ってないんだけどな。
私はほんわかとして、ふっくらしてる人が好みなのよね。
どう考えても、ハクちゃんとは間逆な……。
で、でも!
私が好きになったのは、ハクちゃんだったから……実は面食いだったのかな?
いやいや、そもそも竜のハクちゃんに惹かれたってことでしてっ。

「では、我は着替えてくる。 午後はりこを抱っこして、でぇとをするのだ」

私が内心で、プチパニックしていたら。
ハクちゃんはすばやく私の唇にチュッとキスをして、消えた。
ハクちゃんって、ちょっとキス魔っぽいかも。
ん……あれ?
いま、なんて言って?
着替えてくるって……そして。

「で、でぇと?」

しか~も!
抱っこで?

「あぁ、なるほどぉ! こないだ渡した<年の差なんて怖くない!年代別恋愛必勝法>を読んだんだなぁ。じゃ、次に読ませるのは何がいいかなぁ~」
「は?」

私はダルフェさんを凝視した。
今、なんて言いました?

「まあ、取りあえずは昼飯にしましょう。ね、姫さん」

持参した大きなバスケットを開け、ニカっと笑い。

「帝都名物の揚げ鯰のサンドだ! 姫さんの好きなダルフェさん特製タルタルソースがたっぷり使ってあって、美味いぞぉ~。この鯰は滋養に富んでて有名なんだ。 あの旦那の嫁さんになっちまったんだから、がんがん食って体力つけないとな。父ちゃんに任せなさい! 精のつく食材を揃えてやっからなぁ」

と、父ちゃん?
そ……それに精のつくって何?! 
ダルフェさん。
変な新婚本といい、あなたのチョイスは少々難ありです!

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