四竜帝の大陸【青の大陸編】
花も、人も、竜も。
どれも同じ。
我の前を足早に通り過ぎて行く。
違うのは、ただ1つ。
愛しい半身のみ。

「術士は3人。うち、1人が<星持ち>だ。北棟の地下室に転移させておく。多少ばらばらになっているだろうが。口がきけぬほど損壊していたら、頭だけ残して捨てろ」
「了解。ま、旦那が暇なときにでも“視”に来て下さい。腐んないようにしとくんで」
「我に暇なときなど無い。りこに会ってから、我は毎日が忙しいのだ。りこが寝入った深夜にでも時間を作る」

ああ、そういえば。

「りこの茶は3時なのだろう? ダルフェ、茶はどうするのだ」

りこは茶が……茶の時間が好きなのだ。
いつも楽しそうにしている。
我にはそれが何故かは、まだ理解できていないのだが。
りこが楽しい気分になると、我は嬉しいのだ。

「ああ、茶か! ハニーと陛下の事も姫さんに教える約束しましたっけねぇ。しっかし、今回はやりすぎですよ旦那。様子見てきましたがねぇ~陛下の身体の中、あんなにぐちゃぐちゃにしちまって。殺されたほうが楽でしたね、ありゃ。まぁそこんとこは、姫さんに内緒ですね」
 
内緒? 
あの時の会話から察するに。
りこは。
支店での性交について<青>がけちをつけ、我が仕置きをしたと察したようだった。
仕置きしたことは怒られなかったぞ?

「なぜ、りこに内緒なのだ? 仕置きしたことはばれてるぞ?」
「旦那……あのですねぇ。仕置きの限度を軽く越えて、拷問の域に達してた自覚あります?」

拷問?

「ないな」

ダルフェは大きく溜め息をついて、ヒンデリンに言った。

「な? やっぱりだろ? すげーだろ、旦那って」
「……」

ヒンデリンは答えなかった。

“すげー”とは、どのような意味なのだろうか?
それは我のことなのか?
 
意味が全く分からんのだが。
とりあえず、優先すべきは。

「ダルフェ。茶だ」

竜騎士2人は我の顔を凝視して。
ヒンデリンは一礼して去り。
ダルフェは笑い転げた。

はて?
我は特に面白いことなどなかったが?


 




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